大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和55年(ワ)2723号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

被告は、また、原告は譲渡担保権者にすぎないから本件ミシンに対する強制執行に対し第三者異議の訴を提起することは許されない旨主張する。原告が本件ミシンの譲渡担保権視であることは上来認定の事実に徴しこれを肯認し得るところであり、譲渡担保の目的物が譲渡担保権設定者の債権者から差押を受けたときは、譲渡担保権設定者の各債権者相互間の適正な利害の調整を図る見地から、一定の条件の下において、譲渡担保権者は第三者異議の訴により強制執行の全面的な排除を求めることが許されず、優先弁済権を主張し得るにすぎない場合がある。しかし、本件においては以上と趣きを異にし、被告は本件ミシンの受寄者にすぎない訴外白鳥に対する債権に基づき、同訴外人に対する強制執行として差押をしたものであり、このように差押債権者が譲渡担保権設定者の債権者でない場合には、右差押につき差押債権者は本来保護に値する利益を有しないから、譲渡担保権者は常に第三者異議の訴を提起して右強制執行の全面的な排除を求めることができるものと解するのが相当である。よつて、被告の右主張も採用することができない。

(近藤浩武)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!